インターネット

1. 高速光インターネット回線対応工事の提案

提案の背景:市場の状況

  • インターネットは、その利用の拡大と共に必須のインフラとなりました。広告メディアとしても広告費全体の半分を占め、新聞・TVを超えた存在となっています。
    1. ニュース配信: 新聞販売数が低下、多く人がネットニュースで情報を得ています。
    2. 書籍・雑誌販売: 在庫豊富なネット書店が普及し、実書店の淘汰が進みました。
    3. 動画視聴: 視聴時間が自由な動画配信(YouTube,NetFlix,ニコ動等)が普及、TV・レンタルビデオ離れが進みました。TV局も放送済番組の配信(NHK+, TVer等)を強化しています。
    4. 音楽メディア: CD販売が低下し、利用楽曲数が1億曲を超える音楽配信(Spotify, Amazon Music等)が浸透しました。コンサート配信(ベルリンフィルの年間コンサート配信)も有名です。
    5. 公共サービス: 政府が e-Government政策を推進した結果、eTAX での確定申告、法務局の手続き、自治体の申請/証明書取得など、外出無しに事が足りるようになりました。
    6. リモートワーク: 日本のテレワーク導入企業は約5割、3割の人が実施経験あり。今後更に利用が拡大する見込みです。
  • この利用拡大を受けて、以下の変化が起きています。
    • 利用者の増加: 国内のインターネット利用率9割(当街区も同じ)
    • データ通信量急増: 2001年から20年間で37倍(2030年迄では1000倍)
    • 高速回線への切替: 概ね1Gbps以上回線(光:光方式,光:LAN方式)が全体の6割に拡大。サービス導入次期が古い他の回線は、機器の製造中止、保守費高騰により縮小。

提案の背景:当該区の状況

  • 当該区の状況は、概ね1Gbps以上の高速回線(光:LAN方式のFiberbit)の比率が3割と低い状況です。
  • 街区の270戸が利用している低速な回線(光:CATV[JCOM], 光:VDSL[NTTフレッツ])は、通信が不安定で(低速,反応遅い,途切れる)、仕事に使えないとの意見を頂いています。Fiberbitへの切替えで解消できますが、導入時にLAN配線していない住戸(街区の約2割)は契約できません。
  • また、当街区の3方式は、何れもこれ以上の速度向上が見込めない棟内配線を使っており、利用機器の製造中止に伴いサービス停止が迫っています。既にNTTは、光モデムは製造中止を受け、光:光方式が契約可能な集合住宅での光:VDSLサービス受付けを停止済み。光:LAN, 光:CATV も同様な状況で、各社は大幅値引きとセットで光:光方式を拡販強化(現方式は販売サイトのメニューからは消滅)しています。
  • これらに代わる、安定的に利用できる高速回線(1Gbps以上,更に高速なプランも選択可)が、マンションの価値低下を防ぎ、住み替え促進による街区全体の老化防止の観点から必要です。
  • 残念ながら、唯一の選択肢である光:光方式は契約できません。住戸内に光配線経路(配管)が無いことが分かっており、回線サービス業者はその棟全体を標準工事可能としてくれないからです。

光配線経路確保工事の提案

  • このような状況を鑑み、修繕積立金による街区内の棟内全住居の光配線経路確保工事を提案します。
  • 工事後は最も業者バリエーションが多いNTT系の光:光方式の回線契約が可能となります。
  • 現在利用中の回線をそのまま使う、または回線契約しないままにする場合は、追加の個人負担は発生しません。
  • 今回皆様の意向をこのアンケートで確認し、更に検討して総会に提案させていただく所存です。

  • 予備工事範囲(組合負担分): 
    • 玄関口にMJ設置まで。(配線は回線契約後に事業者が実施)
      • 下図のように玄関口にモデム(ONU)とWiFiルーターを設置頂きます。
      • モデムは光回線専用です。NTT系の回線契約をするとレンタルされます。
      • ひかり電話利用時はモデムと電話機をモジュラーコードで接続します。
    • 光配線を延ばす場合(例:リビング迄)は、自己負担でのオプション工事となります。
  • 予備工事費用見込:
    • 6万円/戸程度 (点検口1個設置で可能な工事)
    • オプション工事費目安(自己負担): 配線延長のための点検口1個追加毎に約3万円かかる見込み。
  • 工事後にNTTコラボ事業者の光:光方式(1Gbps)を契約する場合の費用見込み(下表参照)
    • 初期費用(工事費は標準工事費額)の金額で、地下設備~宅内MJ迄の配線工事が完了します。 
    • 現在利用中の 光:ADSL,光:CATV,光:LAN の何れかの回線からNTTコラボ事業者の光:光回線(1Gbps)に切替える場合、2-3年の契約を行えば、値引きにより工事の負担が相殺できます。


2. 詳細説明

2.1 市場状況

インターネット利用状況

  • 利用用途の変化:
    • ニュース配信: 新聞販売数が低下、多く人がネットニュースで情報を得ています。
    • 動画配信: TV、レンタルビデオが衰退し、YouTube, Hulu, NetFlix, ニコニコ動画等が急伸。若者はTVよりも動画配信を見ています。全体の放送サービス加入者数は直近で減少(-1.9%)。TV局は放送済みの番組の配信( NHK+, TVer 等)に対応しています。
    • 音楽配信: 定額配信サービス(AmazonMusic, AppleMusic, Spotify等)が普及しています。CD保有なしに数億曲が即座に聴けて、音質もCD品質以上です。トップアーティストのコンサートの配信(ベルリン・フィルのコンサート生配信(年間・スポット)、宇多田ヒカル等)も広がっています。
    • 公共利用: 自治体サービス納税(eTAX)銀行 などが自宅で利用できるようになりました。動画配信も増えています。 EX: 志木市の河川監視カメラ
    • 固定電話: 安価な固定電話としてひかり電話/IP電話が普及しました。
    • リモートワーク: 日本のテレワーク導入企業は約5割、3割の人が利用経験ありの状況です。海外(欧米、中国)の事例から今後も伸びると予想されます。

インターネット固定回線状況:6割が光:光方式

  • 通信量の変化:
    • インターネットの通信量が2021年迄の20年間 年率21%で増加。経済産業省は2021年からの10年でデータ通信量が30倍以上(年率45%以上)に増加すると予測しています。
  • 総務省の 情報通信白書, 最新の契約数とシェア四半期データ では、2024年9月のインターネット固定系回線契数 5,142万回線の内訳は以下の通りです。高速(1Gbps以上)の 光:光方式、光:LAN方式 がその約6割程度を占めるようになりました。
    • FTTH : 4072万回線
      • FTTHは、棟外/棟内配線方式 が 光:光方式 / 光:LAN方式 / 光:VDSL方式 を含みます。
      • 1Gbps 以下の低速な 光:VDSL 方式(100Mbps)は875万回線程度と推定されます。
        • マンション全700万世帯の統計から、光方式供給開始前(2002年以前)に建築の約6割(400万世帯)が配線工事なしの 光:VDSL方式 と推定した。
        • 集合住宅のFTTH回線数1459万回線の対象戸数は、マンション,木造アパート等合計約2000万戸が母数なので、その6割の880万回線を 光:VDSL方式 と推定した。
      • 1Gbps超過回線は 約3200回線(=4072-880)と推定。
    • CATV: 608万回線
      • 当該区のJCOMが該当します。光:CATV方式(あるいは光:同軸方式)と呼ぶべきものですが、総務省回答では統計上はCATVのHFC方式(Hibrid Fiber Connection)に分類されているそううです。光:光方式への切り替えで微減傾向。
    • DSL: 5万回線
      • 戸建てのADSL回線。2023年のNTTの契約停止を受け間もなく終了の見込みです。
    • 固定無線(共用): 452万回線
      • モバイル5G回線を使った所謂ホームルーター(以下 5Gホームルーター)のNTT home5G, Softbank Air 5 等が該当。
      • サービス開始1年で403万回線と急伸したが、以後9か月の伸びは約50万回線に鈍化。
      • モバイル回線のカバーエリアと受信状況(遮蔽物、混み具合など)が通信速度に大きく影響 するため、通信の安定度は光回線に劣ります。

光:光方式への回線集約が進み、それ以外の回線は縮小する

  • 各社の販売ページでは以下の 光:光方式だけを掲載し、強力に拡販をかけています。
    • NTT: フレッツ光ネクスト・マンション・ギガラインタイプ(最大1Gbps)
    • NTT: フレッツ光クロス・マンションタイプ(最大10Gbps)
    • J:COM NET 1Gコース(TVは同軸、インタネットは光回線で最大1Gbps)
  • 一方で、販売ページに旧方式(光:VDSL, 光:LAN, 光:同軸)の契約申し込みは見当たりません。
  • また、NTTによる回線契約停止の動きが止まりません。
    • NTT東日本:通信品質向上および環境負荷低減を目的としてVDSL/LAN配線方式から光配線方式へのリニューアル工事を順次実施中。サービス利用のない「VDSL/LAN配線方式の集合装置」単独設置の建物(当街区が相当)での「フレッツ 光ネクスト マンションタイプ VDSL/LAN配線方式」等の新規申込受付を 2024/10/24 で終了(開通期限 2025/4/23)。
      • https://www.ntt-east.co.jp/info/detail/240924_01.html
      • VDSLは、主にマンションやアパートなどの集合住宅で採用されている光回線の接続方式です。建物内の共用スペースまでは光ファイバーが使用され、共用スペースから各部屋までは電話回線を使って接続されています。このため、通信速度が遅くなることが特徴です。通信各社は、VDSL方式のモデムの製造が事実上中止となり、光回線を直結する光配線方式に移行を推奨しています。
    • NTT東日本:DSL/LAN配線方式の値上げ(2025/4/1利用分から) および光配線方式(概ね1Gbps)への変更時の標準工事費無料化 (申込期間 2025/2/1~2026/3/31, 開通期限 2026/9/30)
      • https://flets.com/2024_rebalance/
    • NTT東日本:フレッツ・ADSLサービス終了(新規受付終了 2023/7/31, 2022/1/31迄開通エリアのサービス終了, 最終のサービス終了 2025/1/31)
      • https://flets.com/fa_migration/

2.2 当該区の状況

現在のままでは高速対応には制限あり

  • 当該区で契約可能な固定回線は廃止方向の3方式(光:LAN, 光:CATV, 光:VDSL)だけです。概ね1Gbps以上の高速回線(光:LAN方式のFiberbit)の比率が3割と低い状況です。
  • 159戸が使われている 光:VDSL方式(フレッツ, 100Mbps)は、市場の主流の光:光方式(1Gbps)に比べて、同じホームページを開くのに10倍の時間が掛かります。
  • 光:VDSL方式、光:CATV方式を利用の住民の方から通信が途切れるとの話があります。より高速な光:LAN方式(Fiberbit)を紹介し解決しましたが、契約可能な住居数に制限(後述)があり、全員が使えるわけではありません。

 Fiberbit(Type E)

  • Fiberbit Type-E は、光:LAN方式(Ethernet = 最大1Gbps) のサービスです。
    • 理事が実測した通信速度は 500-600Mbps程度、PINGの遅延は 7-10ms程度です。
    • 2022年の設備更新により、最大100Mbpsだった速度が最大1Gbpsに向上しました。
    • 提供される Fiberbit メールが暗号通信に対応しておらず、メール内容を第3者が参照できるため、多数の迷惑メールが届くことがあります。暗号通信に対応したメールへの切り替え(例えば無料の Gmail)をお勧めします。
  • 2002年に導入され、現在151戸(街区476戸の 32%)が契約しています。 
  • 全戸が契約できるわけではありません。棟内配線の制約があり、工事済のLAN配線が残る住戸(過去に376戸がLAN配線工事済)と、6,7号棟(各5回線程度の追加配線が可能)だけが契約できます。

 NTTフレッツ光ネクスト・マンションタイプ(およびNTT光コラボ事業者)

  • NTTフレッツ光ネクスト・マンションタイプ は、光:VDSL方式(最大100Mbps) のサービスです。同じNTT回線を使うBiglobe光、So-net光等のNTT光コラボレーション事業者もこれに含めます。
    • 理事が実測した通信速度は 30-90Mbps 程度です。
      • VDSLは配線長が伸びる高層階で速度低下します。
      • 通信が混むときは 4Gモバイル通信より遅い 10Mbps台に速度が低下するようです。現在の利用状況では厳しい速度ではないかと思われます。
  • 2004年に導入され、現在159戸(街区476戸の 33%)が契約しています。
  • 棟内に光:VDSL方式の利用者が居る限り新規契約が可能ですが、現在棟内回線数に空きがほとんど無い状況のため、回線増設(16回線単位)を待つ旨を伝えて申し込みし、開通まで最悪 2ヶ月程度待つ必要があります。
  • 光:光方式(最大 1Gbps, 10Gbps)の契約は現在行えません。
    • 調査の結果、1~4, 6,7号棟では住居内MJ迄光配線できないことが判明済み。
    • 5号棟のみ追加調査で配線可能の可能性がありましたが調査協力者なく対応不可の判断のまま。

 J:COM NET 320Mコース

  • J:COM NET 320Mコース は、光:CATV方式(同軸 = 下り最大 320Mbps, 上り最大 10Mbps) のサービスです。
    • 理事が実測した下りの実測通信速度は下り142Mbps,上り9Mbps(サンプル数1)です。
    • この方式は、伝送遅延の長さ、上り通信速度の遅さが原因で、TV会議が途切れる現象が報告されています。
  • 導入時期は地上波デジタル放送設備を光配信に切り替えた 2019年と思われます。現在111戸(街区476戸の 23%)が契約しています。
  • J:COMは光:光方式を使ったより高速なプラン(インターネット用は光回線、TVは現状の同軸利用)を提供していますが、住居内まで光配線できないため現在契約できません。

 契約なし

  • 55戸(街区476戸の12%)が固定インターネット回線を契約していません。
  • この中には5Gホームルーターの契約者が含まれるかもしれませんが、実態は掴めていません。

2.3 光:光方式契約のために何が必要?

棟内光回線契約をするには全戸で配管追加の専有部工事(自己負担)が必要

  • 棟内光配線方式の申込みを行うためには、非常に高いハードルがあります。
  • 棟内の全戸が一斉に、専有部なので自己負担で、安全に光回線をMJ(モジュラージャック)まで引くための準備工事(配管敷設または同等手段)を完了させる必要があります。これに対応頂けない住居が1部屋でもあると、その棟の住民は棟内光配線方式の契約申込みを行えません。
  • 一旦準備工事が完了すれば、標準工事により宅内のMJまで光回線が引けるので、NTT系(1Gbps, 10Gbps)の契約が行えるようになります。J:COM の棟内光回線方式(TV用は現状の同軸を使い、通信用に光ケーブル敷設)も同様です。更に住民合意が得られれば、NTT以外の光ケーブルを使う業者(Nuro光等)の棟内設備導入も可能になります。
  • 2024年7月末のNTTによる戸内立入調査(各棟1戸)に基づく概算工事費見積は以下の通りです。配線に必要な点検口(15 x 15cm) の数で値段が決まり、宅内で長く光配線を引こうとすると(例えば南リビングのTV近くまで光配線を引く)、点検口の数が増える形です。
    • 点検口1個→約6万円/戸
    • 点検口2個→約9万円/戸
    • 点検口3個→約12万円/戸

工事費と利用料の見込み

  • 予備工事費(宅内光配線経路確保)は、費用(標準工事+回線利用+プロバイダ利用料)の値引きにより相殺できる見込みです。
    • 前述のようにNTTは工事費無料。但しNTTは回線だけの提供のため、プロバイダ(インターネット接続、メール等のサービス提供者)と別途契約が必要です。
    • 回線とプロバイダ業務の両方を一括で担うプロバイダが多数存在します。NTTコラボ事業者や、 Fiberbit、J:COMが該当します。
    • 1Gbps の光:光方式では、NTTコラボ事業者を選べば、工事費+回線利用料+プロバイダ利用料で合計5~10万円位のキャッシュバックが得られます。例えばビッグローブ光マンションタイプ2年契約(1Gbps)では 97,344円のキャッシュバック。3年だとそれ以上のものもあります。

4. 皆様のご意見を募集します

宅内光配線経路確保工事に関し、皆様のご意見を募集いたします。

  • ご意見・お問合せフォーム からご意見をお願いいたします。
  • 頂いたご意見は、今後の周知、アンケート(意向確認)に反映させて頂きます。

現状の不具合、不満について教えてください

  • 住民の皆様のより良い通信環境を整備していきたいと考えております。
  • お困りのことがありましたら、その具体的な現象を記載頂きご意見・お問合せフォームからご連絡をお願い致します。
  • 昨年来対応した内容は以下の通りです。
利用回線問題原因対策
光:CATV
(JCOM)
リモートワーク時にTV電話が途切れる。通信が不安定。CATV方式の通信遅延の長さ、上り通信速度の低さ。遅延が少ない,速度の早い回線を契約する。Fiberbitに契約変更し解決。
光:VDSL
(NTT系)
通信が度々途切れてしまうことが多い。詳細不明。
同じ現象の方、詳しい条件を教えてください。
より高速な回線を契約すると解決されるのでは?
光:VDSL
(NTT系)
インターネットが混むと 10Mbps 台に速度が落ちる。朝夕に起きることが多く、スマホのテザリングに切り替えている。通信の混雑による速度低下と推定。ベストエフォート契約なので契約条件どおり。より高速な回線を契約する。
光:LAN
(Fiberbit)
スパムメールが沢山来る。Fiberbitメールが暗号通信未対応のため,メールアドレスを抽出して迷惑メールが届く。無料の暗号対応メール(Gmail)に切替し解決。
光:LAN
(Fiberbit)
23時頃に新たなブラウザウィンドウが数分開けなくなることがある。Fiberbit がTransit対応(多数の外部ネットへの直接アクセスを提供)していないためと推定。大手のネット回線提供事業者(NTT,IIJ等)と契約すると解決されると推定されます。
光:LAN
(Fiberbit)
WiFi接続が遅い。
Fiberbit(概ね1Gbps)の回線なのに 100Mbpsも出ない。
低速な通信規格(802.11gなど)のアクセスポイントに接続していると推定。高速なアクセスポイントを使う。802.11ac のアクセスポイントで WiFiで 400Mbps 程度の速度を確認。
不明WiFi通信が途切れる。近隣に多くのWiFiルーターがあって同じ通信チャンネルを使う混信が起きているのかもしれません。WiFiルーターと接続機器の距離を短くする。
WiFiルーターの別のアクセスポイントを使う。